相続した不動産、どうする？賢い売却の選択肢

賢い選択のポイント：

• 価格重視で時間に余裕がある場合は、一般の買主を探す「仲介」。
• 老朽化や立地で売れにくく、すぐに現金化して管理責任から解放されたい場合は、専門の買取業者に売却する「買取」を検討しましょう。特に「いらない不動産」を早く手放すには買取が有効です。

3. 税金対策！売却タイミングと特例の活用

相続した不動産の売却で最も重要になるのが、譲渡所得（売却益）にかかる税金の対策です。

1. 相続税の「取得費加算の特例」

• 内容: 相続時に支払った相続税の一部を、売却時の譲渡所得の計算における「取得費」に加算できる特例です。これにより、譲渡所得を減らし、税金を抑えることができます。
• 重要ポイント:
  • 相続開始日から3年10ヶ月以内に売却を完了させる必要があります。この特例は節税効果が非常に高いため、売却を決めたらこの期間を目安に早めに動き出すのが「賢いタイミング」と言えます。

2. 居住用財産の「3,000万円特別控除」（空き家特例も）

• 内容: 自分で住んでいた家を売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例です。
• 重要ポイント:
  • 亡くなった方が住んでいた不動産の場合、一定の要件を満たせば「被相続人の居住用財産（空き家）を売った場合の3,000万円特別控除」が適用できる可能性があります。
  • 特例を受けるためには、売却価格の設定や、特例の併用可否など、事前に税理士などの専門家に相談することが不可欠です。

4. スムーズな売却のための重要ステップ

1. 遺産分割協議と相続登記の迅速化

売却するためには、必ず不動産の名義を相続人に変更する相続登記が必要です。遺産分割協議が長引くと、売却手続きに入れず、税制上の特例期間を逃すことにもなりかねません。早めに専門家（司法書士）に相談し、手続きを進めましょう。

2. 不動産会社は複数社に査定依頼

適正な売却価格を知るためにも、また、信頼できるパートナーを見つけるためにも、複数の不動産会社に査定を依頼し、比較検討することが賢明です。査定価格だけでなく、売却戦略や担当者の対応力もチェックしましょう。

3. 境界の明確化

特に土地の場合、隣地との境界が不明確だと売却のトラブルになりやすいです。売却前に測量を行い、境界を確定させておくことで、買い手に対する安心材料となり、スムーズな取引につながります。

まとめ

相続した不動産の売却は、「換価分割」を選び、早めに「相続登記」を済ませ、税制上の優遇措置を最大限に活用できる「3年10ヶ月以内」の売却を目指すのが最も賢明な選択と言えます。

売却を成功させるためには、不動産会社や司法書士、税理士といった専門家の力を借り、計画的かつ迅速に行動することが重要です。この不動産が「負の財産」となる前に、「価値ある資産」として次世代に繋げられるよう、賢い売却の選択肢を選びましょう。